精神医学 科目終了試験(1)統合失調症について
精神医学 科目終了試験(1)統合失調症について
<ポイント>
- 頻度
- 発病年齢
- 病期と症状
- 病型
- 病因
- 治療
- 統合失調症患者に接するときの注意点
<まとめ>
統合失調症とは典型的な内因性精神病である。現実検討能力(現実と非現実の区別がつくということ)が部分的・可逆的に障害されることが最大の特徴。
頻度
国によって若干の違いはあるが、一般集団の0.8%前後とされる。
発病年齢
15〜35歳。40歳以上や児童期の発病は少ない。
病期と症状
3つに分けることができる。
★①前駆期
特徴的な精神病症状が揃う前に、非特異的な精神症状を呈する時期。不安・抑うつ、集中困難、自信欠如、能率低下、睡眠障害などがある。個人差があるが平均が4.8年。学生の場合は急に成績が落ちたり不登校、ひきこもりになったりする。
★②急性期
多様である。典型例は下記の通り。
<幻覚・妄想症状>
- 妄想気分(何か起こりそうな不気味な感じ)
- 妄想知覚。関係妄想(周囲に起こることに特別な意味があり、自分に関係があるように思えてくる)
- 妄想着想(周りと関係なく、超能力が備わったと確信する)
- 幻覚
……もっとも多いのは幻聴で、患者を非難するものや複数の人が話し合う形のもの。自分の考えを声として聞くのは考想仮声という。幻視、幻嗅、体感幻覚などもある。 - 妄想
被害妄想、誇大妄想など。
<自我障害>
- 思考吹入(考えを誰かに吹き込まれる)
- 思考奪取(考えが抜かれる)
- 思考干渉(考えがあやつられる)
- 考想伝播
興奮を伴うことを緊張性興奮、混迷に陥ることを緊張性混迷と呼ぶ。また病識の欠如も見られる。
★③慢性期
- 緊張型…完全寛解に至りほぼ病然に戻る
- 破瓜型…多くは残遺症状が残り慢性の経過をとる
慢性期にみられる症状は陰性症状が中心。下記のようなもとがある。
- 感情平板化(感情反応が起こらない)
- 意欲減退(自発性が欠如する)
- 連合弛緩(考えがまとまらない。言葉のサラダ)
- 自分の殻にこもる(自閉)
病型
伝統的なものは破瓜型、緊張型、妄想型。これに単純型を加える立場(ICD-10)と、パーソナリティ障害に含める立場がある。
病因
完全に明らかにされたわけではないが、脆弱性—ストレスモデルが有力。遺伝的に規定された発症脆弱性に何らかの心理的ストレスが加わり、脳内の生化学的異常が惹起されるというもの。発症脆弱性は遺伝子の他、神経発達障害仮説も定義されている。
歴史的にはドーパミン神経伝達の過剰仮説がとなえられていたが、昨今ではセロトニンやグルタミン酸伝達の障害にも焦点が当てられている。
治療
統合失調症患者に接するときの注意点
面接では意思疎通がはかれない患者も多い。また面接時に、統合失調症患者に対して抱くプレコックス感(患者に抱く共感の乏しさ、冷たさ、硬さ)は独特である。
病識がなかったり、病院に被害的感情を持っていることで病院を受診したがらなくなる傾向もある。幅広い関わりが必要とされる。
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