【メモ】脳科学的にみた統合失調症やうつ病
さーて生理心理学のレポートに取り掛かりますかね……えっと設題は
「薬物が働くメカニズムについて、シナプス上で起こっていると考えられる事象を詳述する」
うつ病や統合失調症に関する生理心理学的理論と向精神薬による治療について整理しながらまとめる……
これホントに心理学なの(((( ;゚Д゚))))
心理学な気がしないんだけど!
いや心理学と関わりがあるのはわかるんだけど、そのね、想像以上!
でもやんなきゃいけないんだよね……((((∪ ´ω` ))))
とりあえず功刀浩著『精神疾患の脳科学講義』を読み始めた。
この本、前書きからしてネタ満載でおもしろい(*´∀`*) 内容も正確な記述を意識されたご様子がはしばしにうかがえ、また金閣寺炎上僧(水上勉の『金閣炎上』、三島由紀夫の『金閣寺』などで有名。三島版は創作部分が多いとのことですが)の検証などもあって、知識がさほどない自分でも比重に興味深く通読しました。難しい内容のはずなのに、すごく読みやすく理解しやすい(*´∀`*)タスカル
『臨床心理学』誌に連載されていたものを加筆修整しまとめた、とのこと。以下、気になったところをメモ。
◆統合失調症の症状
- 陽性症状・陰性症状
- 認知機能障害(記憶や知的能力の低下、実行機能の低下、情報処理に関連した注意の障害、運動機能の低下など)
- 気質・性格に一定の偏りがある
◆統合失調症の入院患者数はあらゆる病気の中でもトップ
- 日本には統合失調症の人がおおよそ70万人いると言われている。
- 患者の3割弱にあたる18万人が入院している。この患者数は日本の全入院患者数の14%であらゆる病気の中でもトップ。医療費も高い。
- 患者や患者の家族にとって最大の問題は就業が難しくなること。
※調べてみたデータ(2011年度)
入院患者総数は22万4000人、統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害は13万8100人、外来患者総数は6万4400人。精神科病院の退院患者平均在院日数は389.8日とのことと。
平成23年患者調査/上巻/年次/2011年/表番号56,57,58
◆統合失調症とIQ
- JART等により調査。統合失調症の患者はIQや記憶力が低下している。発症前から平均して低いことが多く、発症によりさらに低下したと考えられる。
- 概してIQよりも記憶力の低下のほうが顕著である。
- ただしIQが低くない人もいるし、記憶力が平均以上の人もいる。
- 認知機能障害は陽性症状よりも職業機能と関連が強い。
◆MRI脳構造体積を調べた結果
統合失調症患者における脳形態の変化は害して軽度であるが非特異的で広範囲にわたっており、前頭ー側頭辺縁ー傍辺縁系領域において相対的に強い(『精神疾患の脳科学講義』功刀、2012)
◆統合失調症の遺伝率はおおよそ80%。他の精神疾患に比べて高い
※統合失調症患者の子どもが80%の確率で統合失調症になるわけではない。
遺伝率とは、ある表現型において遺伝と環境のうち遺伝がどの程度関与するかについての数字であり、患者の子供の何%が発症するかを示すものではない。すなわち、統合失調症の病因はおよそ80%が遺伝子であり、残りの20%が環境因子であると見積もられている。(『精神疾患の脳科学講義』功刀、2012)
家系研究によって下記のことがわかっている。
◆産科合併症が有意に重度である
母子手帳の調査により発見。胎生期~周産期における重い妊娠中毒症や合併症妊娠、低出生体重、選延分娩、出生時胎児切迫仮死、臍帯関連合併症、など
低出生体重などの人生早期の要因→脳の発達障害→児童期から始まる精神発達の偏り→病前機能の低下→統合失調症発病 という発症過程が考えられる。(『精神疾患の脳科学講義』功刀、2012)
◆ストレスホルモン
ストレスホルモンは、神経突起を減らしたり、シナプスを減らしたりすることが知られており、うつ病や不安障害の病態に重要な役割を果たしていると考えられる。(中略)前駆期のうつ状態や不安症状を呈している時期には、ストレスホルモンが過剰に出ている可能性がある。これが前頭葉のシナプス刈り取りの時期に重なることによって、過度にシナプスの刈り取りがなされ、前頭葉などにおける神経ネットワークの過剰な脱落などの障害を与えると考えられる。