精神医学 科目終了試験(4)てんかんについて
精神医学 科目終了試験(4)てんかんについて
<ポイント>
- 概念
- 分類
- 治療
概念
種々の成因によってもたらされる慢性の脳疾患であり、大脳ニューロンの過剰な発射から由来する反復性の発作(てんかん発作)を主徴とし、それに変異に富んだ臨床並びに検査所見を伴うもの(WHOの定義)
診断の契機はけいれん発作が多い。発作症状はさまざまだが(発作の生じる部位、広がり方による)けいれん、意識障害、自動症など。
★自動症とは
意識混濁時、無目的にある動作を自動的に繰り返すもの。発作の焦点は側頭葉にあることが多い。
- 食行動自動症(舌なめずり、もぐもぐ)
- 表情性自動症(不安や恐怖の表情を示す)
- 身振り自動症(体の一部に触ったりボタンを外したりする)
てんかんの分類
国際抗てんかん連盟による分類が用いられている。
★症候性てんかん(続発性てんかん)器質性、代謝性など病因が明らか
−狭義の症候性てんかん(脳腫瘍や低血糖など進行中の疾患のために発作が出る)
−残遺てんかん(脳梗塞や頭部外傷など過去に罹患した脳障害が治癒した後に発作が出る)
※大脳ニューロンの過剰な発射に由来しない状況関連発作は、通常はてんかんから除外される。
症状の分類
★部分発作
臨床症状および脳波所見が一側大脳半球に限局して始まる。意識滅損のない発作が単純部分発作、意識滅損のある発作が複雑部分発作。
- 単純部分発作
身体の一部の運動症状、知覚症状、自律神経症状あるいは精神症状のみを示す発作。運動症状を示す場合、一側の上肢あるいは下肢などを律動的に震わせるなど身体の一部に限局したけいれん。しびれ感を感じる体性感覚発作や視覚・聴覚・味覚などの症状が発作性に生じる特殊感覚発作もある。自律神経症状を示す場合は頭痛発作、悪心や腹痛を生じる胃腸発作、尿失禁発作などがある。精神症状を示す発作の場合は強制思考や感情発作など。 - 複雑部分発作
意識障害のあと健忘が残る発作。「精神運動発作」と呼ばれるものは複雑部分発作の代表的な症状で、意識障害の後に自動症が出現する。 - 部分発作から全般性強直。間代発作へ移行する発作
★全般発作
発作開始時から両側大脳半球が障害されて生じるもので、けいれん発作を伴うものと伴わないものがある。
- 欠神(けっしん)
- ミオクロニー
- 間代
- 強直・間代
- 脱力発作
最も頻度が高いものは強直・間代性発作。大発作とも呼ばれる。突然の意識障害→強直けいれん(四肢体幹が強く突っ張る)→間代けいれん(四肢体幹を律動的に震わせる)。持続時間は1分程度。
発作開始時に叫び声をあげたり、転倒して頭を打ったり、舌を噛んだりすることもある。
てんかん(症候群)の分類
治療
- 生活リズムの管理
→過労、睡眠不足、飲酒などで誘発されることがあるため - ストレスマネジメント
→感情・情動刺激により誘発されることがあるため - 合併する精神症状
→心理教育、認知行動療法 - 薬物療法
→抗てんかん薬(抗けいれん薬)主体
精神医学―精神疾患とその治療 (改訂新版・精神保健福祉士養成セミナー)
- 作者: 小阪憲司,谷野亮爾,新版精神保健福祉士養成セミナー編集委員会
- 出版社/メーカー: へるす出版
- 発売日: 2013/12
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る