精神医学 科目終了試験(2)気分(感情)障害について
精神医学 科目終了試験(2)気分(感情)障害について
<ポイント>
- 症状
- 病型と分類
- 病因
- 治療
- 患者に接するときの注意点
<まとめ>
気分(感情)障害とは
二大精神病といえば統合失調症と躁鬱病。躁鬱病はクレペリンによって疾患概念が確立されたが、その後「感情障害」→「気分障害」と名称が変化した。
★統合失調症と異なる点
★種類
症状
基本的には感情(気分)の障害。これに思考障害、意欲・行動の障害、身体症状が伴う。症状の理解はうつ病相と躁病相に分けて行う。それぞれ「感情」「思考」「欲動」「身体症状」に分類するのが一般的。躁病相に比べてうつ病相のほうが回数が多い。
★うつ病相
- 感情
抑うつ気分、希死念慮。朝のうちに強く夕方から軽減する。 - 思考
・思考抑制(考えが進まない、思い浮かばない)
・罪業妄想(取り返しのつかない罪を犯した)
・貧困妄想(金がなくなり生きて行けない)
・心気妄想(不治の病にかかった) - 欲動
精神運動停止の様相を呈する。意欲が低下し、動作が緩慢になり、身の回りのことすら面倒に。 - 身体症状
消化器症状、不眠、早期覚醒などさまざまな不調。身体的に原因のないものには軽症のうつ病患者が含まれることがあり、仮面うつ病と呼ばれる。
★躁病相
- 感情
爽快感に溢れ楽天的。自己評価は高く尊大な態度。周囲に対し怒りっぽくなる。 - 思考
観念奔逸(新しい観念が次々とわき起こり、多弁であるが内容は散漫)がある。一つのことに集中していられない。誇大妄想を持つが、統合失調症のような奇怪な妄想ではない。 - 欲動
多動で落ち着きがない。行為心迫(思いついたことを即座に行動に移す)がみられる。精神運動興奮の状態に陥り行動がまとまらなくなる。金銭面、性的側面でも過剰な行動をとる。社会的な逸脱行動。 - 身体症状
不眠があっても苦痛ではない。自覚的には身体が軽く疲れを知らない状態。
病型と分類
基本は単極型と双極型。
病因
解明されていないが、内因性の病気と考えられている。下記の要素が関連し合って発症するとされている。
- なんらかの脳の機能的障害→病気になりやすさを形成
- 遺伝素因もなりやすさの一部である、
- 病前性格もなりやすさの一部に関連する。
- 上記に加え精神的ストレスあるいは身体疾患など身体面でのストレスが加わると発症すると考えられている。
発病年齢が遅いほど病相期間は長い傾向にある。
治療
患者に接するときの注意点
★躁病患者に接するとき
- 患者は尊大で傲慢に振る舞うが、勢いに巻き込まれて怒ったりせず冷静に接して治療関係を維持すること。
- 思慮を欠いた行動や社会的な逸脱が見られる場合は入院を考慮する。
- 患者は病識がないため精神科への入院を強く拒否することが多い。
- 躁状態は短期間で鎮静するので、軽快後に患者の自尊心を傷つけないよう注意する。
★鬱病患者に接するときの注意点
うつ病に関して理解させることが必要。
患者に対して
- 休養をとることが回復のためには最良の方法であると告げる
- 離婚や辞職を考える人も多いが、重大な判断は治った後まで延期するよう指導する。
- 社会復帰を急ぐ患者も多いが、社会復帰にはリハビリテーション期間が必要であり、段階的に進めるようにする。薬物療法は再発予防のため回復後もしばらく続ける。
- 自殺しないことを約束させる。
家族に対しては、以下のことを説明する。
- 患者は怠けているわけではないこと
- 励ましは患者の自責感を強めるだけなので避けること
- 気晴らしにと称して本人が気乗りしない活動を強制するのは禁物であること