心理学ほげほげ勉強日記

東京福祉大学の心理学部、通信教育課で学ぶ男のブログです。三十路にしてふたたび大学に通うとは……どこへ向かおうとしているのかはともかく、勉強したことをまとめるです。

精神医学 科目終了試験(6)向精神薬について

精神医学 科目終了試験(6)向精神薬について

<ポイント>

定義と種類、注意事項などについて理解する。

 

<まとめ>

向精神薬とは

脳に作用して、特に精神機能になんらかの影響を及ぼす薬物の総称。精神障害に対する治療薬や精神異常発現薬のほか、広義には麻酔薬やアルコールなどの嗜好品も向精神薬に含まれる。

向精神薬の登場により、精神障害の治療やリハビリテーションは画期的に進展を遂げた。また作用機序を手かが利として、精神疾患のしくみについての研究が進んでいる。

 

向精神薬の歴史

現在の向精神薬の原型は1950年代に発見され、その後多数の薬剤が開発され続けている。

1952年 近代精神科薬物療法の幕開け
フランスのドレイとデニカーが、クロルプロマジン統合失調症に対して、催眠作用ではなく精神病症状の治療効果を持つことを発見した。

1954年
デンマークのスコーが、1949年に発見されていた炭酸リチウムの抗躁作用を再発見した。

1957年
スイスのクーンが、イミプラミン塩酸塩の抗うつ効果を報告した。またプロルジアゼポキシドが抗不安薬のメプロバメートと同じ作用を持つことを見いだした。

1958年
ベルギーヤンセンが、抗精神病作用を持つハロペリドールを開発した。

(以下、現在に至るまでさまざまな薬が開発されている)

 

向精神薬の種類

※強力精神安定薬(メジャートランキライザー)や緩和精神安定薬(マイナートランキライザー)は両者の薬理作用が著しく異なる一方で名称から誤解を与えやすいため、強力精神安定薬(メジャートランキライザー)は抗精神病薬、緩和精神安定薬(マイナートランキライザー)は抗不安薬と呼ばれるようになってきている。

 

薬物療法における注意事項

  1. 説明と同意(インフォームドコンセント
    患者の中には「薬に頼っていてはいけない」と自己判断で服薬を中止することが少なくない。アドヒアランス(薬物治療の継続性)を上げるためには、診断を行うとともに、薬物の必要性、効果、副作用について説明する必要がある。家族への説明も重要である。家族へ疾患や薬物、治療法などの説明を行うことは、心理教育的家族療法として重視されている。
  2. 副作用への対応
    薬物療法においては、軽度の副作用よりも主作用(薬本来の目的である作用)を重視すべきである。初期の副作用には次第に慣れ(耐性)ができてくることも少なくないため、患者には副作用であることを伝えて適切に対処する必要がある。
  3. 高齢者への与薬量
    薬の代謝は、年齢が上がるにつれて遅くなる傾向がある。そのため、高齢者は若者よりも薬に対する反応や副作用が強く現れやすい。半減期の長い抗不安薬の場合、覚醒度の低下から認知症のような状態になることもあるので注意が必要である。高齢者には通常容量の半分くらいの投薬を目安とする。
  4. 薬剤血中濃度モニタリング
    薬剤血中濃度モニタリングとは、薬剤の血中濃度を測定して個人の状態にふさわしい容量を決定する方法である。薬の代謝はかなりの個人差があり、同じ投与量でも血中濃度が人によって異なることから、血中濃度が薬効発現の指標となっている薬や、安全域が狭い(治療域と中毒域が接近している)薬などにおいてはモニタリングが必要となる。(フェニトイン、バルプロ酸ナトリウムなどの抗てんかん薬、炭酸リチウムなど)
    ただし血中濃度はあくまで参考値なので、臨床的に効果があれば低値でもよい。