学習心理学 科目終了試験設題(6)
学習心理学 科目終了試験設題(6)
「試行錯誤学習と洞察学習について」
試行錯誤学習の類似点と相違点について述べる。キーワードは試行錯誤、洞察、報酬訓練、効果の法則、知覚の再体制化、見通し。
うんムズカシイネ((((∪ ´ω`; ))))
<ソーンダイクの実験と試行錯誤学習>
ソーンダイクは「問題箱」の中にネコをいれ、「問題解決は試行錯誤によって行われる」とした。試行錯誤とは、
①不適切な行動をでたらめに行う
②偶然に適切な行動が起こる
③試行の繰り返しにより問題解決反応までの時間が短縮される
④すぐに問題解決できるようになる
という流れをたどるものとした。ソーンダイクはまた、満足がもたらされる反応は刺激と連合して生起しやすくなるが、不快な結果をもたらす反応は刺激との連合が弱まり生起しにくくなるという刺激-反応連合により学習を説明した。これを「効果の法則」という。
この考えはハルやマルツマンへと受け継がれ、人間の問題解決過程への適用が試みられた。曰く、人間は過去経験の結果にとして種々の強さで問題解決に連合した反応レパートリーを持っており、その中から連合強度の強い物が順番に選択されていく過程が問題解決過程であるとした。
<ゲシュハルト心理学者たちの批判>
ソーンダイクの実験は、ゲシュタルト心理学者たちから批判を受けた。たとえばケーラーは、試行錯誤学習に再検討を促すような研究を多く行った。
<ケーラーの実験(道具使用の実験)>
鉄格子のはまった部屋にサルをいれ、手元に棒、部屋の外に食べ物を置いた。食べ物はサルにとって、手の届かないエリアにある。この実験の結果、
①問題解決は突然行われる
②最初の失敗でさえ盲目的な試行錯誤ではなく、明確な方向性を持った行動であった
ということを発見した。そして、問題解決を「知覚の再体制化ないしは課題状況の見通し(洞察)により問題解決が可能になること」と説明した。具体的には、目的―手段の観点から問題状況を正しく捉えなおすことで、組織化され方向付けられた努力によって問題の構造を把握し、目標達成のためにいかなる手段をとるか、ということである。
<「洞察(見通し)」とは>
洞察(見通し)とは、問題解決事態において、試行錯誤的に解決手段を探すのではなく、諸情報の総合により一気に解決の見通しを立てること。問題状況の中心転換(その問題が構成される枠組み、構造をその構造として見方を切り替えること)が洞察を構成する最も重要なプログラムである。
★簡単にいえば……単なる棒でしかなかったものが、果物と手の距離を縮めるための道具として見え始めた、ということを指す。
<問題解決と洞察>
問題解決が洞察によって行われるかどうかは、課題の難しさと被験体の知能、両者に依存する。(回り道の実験によって証明された)
<現代における試行錯誤学習>
刺激―反応連合によって学習を説明する手法は、ネヴィンによって述べられているように、現在では一般的ではない。
ただし「結果により行動が変化する」という「効果の法則」の基本は、オペラント行動づけの原理として今日に受け継がれている、という意味でソーンダイクの功績は大きい。
<ケーラーの問題点>
ケーラーは、見通しに及ぼす過去経験の役割についてはほとんど考慮していない。「棒が突然道具に見えるものか」という点については疑問が残る。
<ソーンダイク、ケーラー双方の問題点とこれからの洞察学習研究>
ソーンダイクやケーラーは、ともに問題解決における心的役割についてはほとんど言及していない。それを明らかにするために、問題解決を情報処理の過程として捉えようとする試みが、現在の研究の主流となっている。
★参考書
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