心理学ほげほげ勉強日記

東京福祉大学の心理学部、通信教育課で学ぶ男のブログです。三十路にしてふたたび大学に通うとは……どこへ向かおうとしているのかはともかく、勉強したことをまとめるです。

健康心理学 科目終了試験(6)健康心理カウンセリングについて

健康心理学 科目終了試験(6)健康心理カウンセリングについて

  1. 健康心理カウンセリングの基礎(マイクロカウンセリング)
  2. 健康カウンセリング(クライエント中心療法、意思決定のカウンセリング、行動カウンセリング、理性感情行動療法<REBT>、自律訓練法<AT>)など、それぞれの内容を理解する
  3. 健康行動やビリーフへのアプローチを行う 

 

健康心理学の実践分野のひとつにカウンセリングがある。

 

■健康心理カウンセリングとは

 クライエントが健康についての種々の情報をよく知らされた上で、自分で自分の行動を決定し、よりよいライフスタイルを築いていくように、カウンセリングの技法を用いて援助していくこと。

■健康心理カウンセリングが行われるとき

クライエントの、問題となる状況や症状などが不適応という心理的メカニズムに基づいて生じている場合に行われる。つまり、健康に関する問題に適応していない場合に行われる。

■健康心理カウンセラーの役目

カウンセリングの技術を用いて、健康の定義である「心理的・身体的・社会的なウェルビーイング」の達成に肯定的な影響を及ぼしていく役割をもつ。

 

  1. 健康心理カウンセリングの基礎(マイクロカウンセリング)

    マイクロカウンセリングはアイビィによって開発されたカウンセリング学習のためのメタ・モデル。専門的なカウンセリングや心理療法、日常の人間関係におけるコミュニケーションの処理論や方法をまとめて再構築したもの。

    技法は「かかわり」と「積極」に大別され、それぞれのカウンセリングに共通して認められる技法と、特定の者に一貫して使用される技法がある。また、いくつかの技法を統合する形で面接の構造化が行われている部分がある。

    ①かかわり行動
    カウンセリングにとって「聴く」ことは非常に重要である。特に4つ。
    ・視線を合わせる
    ・身体言語に気を配る
    ・声の調子
    ・言語的追跡(話題を飛躍させずクライエントの発言にそって応答)

    ②クライエント観察技法
    ③開かれた質問と閉ざされた質問
    ④励ましと言い換え、要約
    ⑤感情の反映
    ⑥意味の反映
    ⑦焦点の当て方
    ⑧積極技法
     →支持/論理的帰結/自己開示/フィードバック/解釈/積極的要約/心理的教育
    ⑨対決

  2. 健康心理カウンセリング
    その場、その年齢に特有な知識や情報、発達上の課題を熟知したうえでクライエントのライフスタイルの変容を促進し、QOLを高める支援を行っていく。目標は下記。
    ①健康の維持・増進と疾病予防に関する問題の解決、行動変容、新しいライフスタイルの獲得
    ②体験の促進を援助(自己評価の上昇、自己効力感の強化、自己実現の動機)
    ③新しい健康的なライフスタイルをめざした健康増進プログラムを作ることを援助

  3. 健康心理カウンセリングの理論的立場
    どのカウンセリングも基本的には人間尊重の精神という共通点がある。健康心理カウンセリングで重視されるのは、クライエントの主訴に対して

    ・どのように個人の成長を促すか
    ・人間関係をより良くするか
    ・意思決定するか
    ・問題解決するか
    ・行動とライフスタイルを変えていくか
    を援助する。

    ★来談者中心カウンセリング 
    カウンセラーは共感的かつ受容的で、共感的傾聴と自助の動機が高まる場と雰囲気を作り、クライエントが何を感じ、考えているかを重視。個人の成長と対人関係の親和を目指す。

    ★意思決定のカウンセリング
    構造的面接や質問紙法を行い、ロールプレイングなどを通して比較的短時間のカウンセリングで現実的な葛藤を理性的に解決する。葛藤を体験後は、他の可能な手段で問題を解決したいという動機が高まり、別の対処法を採用できるようになる。

    ★行動カウンセリング
    感情や思考よりも行動の結果を重視。新しい行動を起こすことや行動変容に焦点を当てる。問題行動を小さなステップに分けて特定の環境への働きかけを行うことで目指す行動を達成し、ポジティブなフィードバックを受け、その行動を日常化する。

    ★理性感情行動療法
    ・人間は誰でも曲解し、非理性的な考え方をもつ傾向がある
    ・しかし、非理性的な考え方を理性的に変えていこうとする力をもっている
    という傾向を、人間は本来持っているものとし、論破することにより非理性的ビリーフを理性的ビリーフに導き、変えていこうとする。

    交流分析
    「一貫した感情と経験の一定のパターンであり、対応する一貫した行動のパターンと直接に関係している」ことを「自我状態」と定義。その上で構造分析・交流分析・ゲーム分析・脚本分析 と4つの分析を行い、人間関係を良いものに変えていく。

■健康心理カウンセリングのまとめ

健康心理カウンセリングでは、困難や弱い部分に焦点を当てる(医療モデル)よりも、肯定的資質を引き出す(健康心理学モデル)ことによってクライエントの人格的成長の基盤をつくる。カウンセリングの過程で個人の肯定的な資質を見出して強調することは、クライエントに個人的活力を与えることになるのである。

健康心理カウンセラーは、健康をめざしてクライエントが行動変容をおこすことを励まし、見守り、促進していく役割を持つのである。

 

  

健康心理学・入門 -健康なこころ・身体・社会づくり - (有斐閣アルマ)

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