心理検査法 科目終了試験設題(2)
心理検査法 科目終了試験設題(2)「妥当性について」
(ポイント)心理検査における妥当性の意味、妥当性の種類について理解していること。
<心理検査における妥当性とは>
測りたい属性をその測定値が的確に表現していること。信頼性と並んで、テスト得点の質を評価する重要な基準である。
具体的にいえば、その検査からなされた推論が
といったところが問われる。
★心理検査の最終目的は、この妥当性。そのために必要なのが信頼性。大きく分けて下記がある。
- 手続きそのものが妥当かどうかを考える「理論的妥当性」
- 分散分析などで統計的に考える「統計的妥当性」
<妥当性の分類>
①内容の妥当性
心理検査の内容の適否について、主として専門家の個人的かつ主観的判断を通じて評価される。内容の妥当性はさらに2種類に分類される。
①-1 表面的妥当性
- 心理検査の内容を見て判断されるもの。
- 専門家でなくとも被検者が判断してもよい。
- 被検者の受験態度に影響するため重視される。
①-2 論理的妥当性
- 心理検査によって測定されるべき行動の領域があらかじめ明確に定められているとき、検査の質問項目・課題内容がその領域を充分に代表しているかどうかの程度を示すもの。
- 専門家により判断される。
②基準関連妥当性
個々人が基準変数と呼ばれる変数上のどの位置にいるかを予測することにおいて、心理検査がどの程度有効であるかを示すもの心理検査の得点+基準値(基準における測定値)との間の相関係数(妥当性係数と呼ばれる)で表される。基準関連妥当性はさらに2種類に分類される。
②-1 並存的妥当性
基準値が心理検査の得点とほぼ同時期に得られる場合に使うことができる。
(例)
SE適性検査の基準関連妥当性を調べるというとき、すでに就職してSEとして働いている人に検査を実施し、その人の職場内での評価値を入手。適性検査の得点とSEとしての職場での評価値、2つの間の相関係数を妥当性係数として調べる。
②-2予測的妥当性
心理検査の得点が得られた後、数ヵ月後or数年後に基準値が得られる場合。時間とコストがかさみ、脱落・非協力等により基準値の散らばりに制限が加えられ、妥当性係数の値が低くなりやすいという欠点がある。
(例)
入社時に適性検査を実施
→入社後一定期間待つ
→職場での評価値を求め、検査の得点と評価値の相関を求める
③構成概念妥当性
関心下の心理検査が、心理学敵な構成概念(「知能」や「社会的外向性」等、人間行動を説明するために理論上設けられた概念)や特性をどれくらいよく測定するかを示すもの。最も大事な妥当性であり、これが成り立たなければ正しい測定は成り立たない。以下の観点でなされることが多い。
- 変化・成長が心理検査の得点に適切に反映されているか
- 他の心理検査との関係はどうなっているか(収束的妥当性:同じものを測るなら相関しなければならない/弁別的妥当性:違うものを測るなら相関してはならない)
- 適切な集団差を示すかどうか
- 実験を行うことにより、心理検査の得点がその実験の効果を適切に反映するか
- 適切な過程をたどって回答や反応に至っているか
- 対立仮説を立て、その仮説に対してはどうであるか
★参考にした本
- 作者: 中島義明,子安増生,繁桝算男,箱田裕司,安藤清志,坂野雄二,立花政夫
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 1999/01
- メディア: 単行本
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