心理療法概説 科目終了試験(4)自動思考について
心理療法概説 科目終了試験(4)自動思考について
<ポイント>
<まとめ>
自動思考はベックの認知療法で使われる用語である。
★ベック以前の「抑うつ」の概念
抑うつの基本症状は感情障害。認知・動機づけ・行動の障害や生物学的症状はそこから派生した二次的なものと考えられていた。
★ベックの「抑うつ」の概念
抑うつの本質は認知の障害。感情障害はそこから二次的に生じてくるものと考えて認知療法を発展させた。また抑うつ理論を不安に適用できるとし、認知行動療法に多大な影響を及ぼした。
ベックの素因ストレスモデル
スキーマとは外界を認知するための枠組みや構えのこと。こころの真相にある信念や態度などの認知構造をさす。
ネガティブなライフイベントがあっても、抑うつ状態になる人とそうでない人がいる。抑うつになりやすい素因を抑うつへの脆弱性と呼ぶ。ベックは抑うつスキーマが抑うつへの脆弱性と主張した。
- 柔軟性に欠ける(~すべきだ、いつも~だ、~か~かのどちらかしかない)
- 否定的・悲観的
- 幼児期の両親との死別など不幸な体験によって形成される
- 不幸な体験をすると抑うつスキーマが活性化され、その結果として否定的な自動思考が生じる。
抑うつをもたらす認知は3つのレベルがある。
- 否定的な自動思考
★自動思考
→心の表層にあり自分の意思とは関係なく意識に飛び出してくるもの。
★否定的な自動思考
→抑うつ時に自動的に浮かんでくる否定的な考えのこと。
例)抑うつ状態の人がデキる人を見て「自分は無能な人間だ。生きている価値がない」などとすぐに考えてしまうこと。
★抑うつ認知の三大兆候
→自分自身、自分を取り巻く環境、自分の未来について(自己・世界・未来)否定的に悲観的に受け止めること。感情障害の基底となる。 - 推論のレベル
抑うつ的な人は体系的な推論の誤りをしている。
・恣意的な推論(論拠がないのに否定的な結論を導く)
・選択的注目(自分に関連すると思った些細な事柄を過大視する)
・過度の一般化(些細な出来事に基づいて一般的ルールにする)
・拡大解釈と過小評価(些細な出来事を大きく取り上げる、またその逆)
・自己関連付け(関係ない不幸な出来事を自分に関係づけて考える)
・完全主義的・二分法的思考(良いか悪いか、完全か不完全か) - スキーマのレベル
否定的なスキーマが推論の誤りを生み出すもととなる。