健康心理学 科目終了試験(2)ストレスのメカニズムと疾患について
健康心理学 科目終了試験(2)ストレスのメカニズムと疾患について
ストレスのメカニズム……セリエの生理的ストレス、ラザルスらの心理学的ストレスの内容をよく見ること。
ストレス疾患……ストレスがもたらす症状(自律神経系、内分泌系の各症状、心身症など心療内科関連の疾患)についてまとめること。
■ストレスのメカニズム
セリエの生理的ストレス
- ストレス…外界からのあらゆる要求に対する、生体の非特異的な反応。
- ストレッサー…そのような状態を引き起こす刺激
生体にストレッサーが加えられると、汎適応症候群と称する生理的症状が出現する。これは胸腺・リンパ腺の委縮、胃・十二指腸の潰瘍、副腎皮質の肥大の3特徴からなる全身的変化。血糖増加や血液凝固時間短縮などを伴う「活動性の高まった状態」。外界の侵襲の種類には関係なく生じる。
汎適応症候群はストレスのプロセスの3段階の反応を表している。抵抗期までは防衛力(適応力)が高められるが、最終の疲はい期では侵襲力が抵抗力を上回って急速に死が訪れる。
★ストレスのプロセスの3段階
- 警告反応期
有機体が有害刺激の存在に気づきストレッサーを感知→警告反応→ストレッサーに抵抗していくための準備体制が整えられる、という段階。
下記2つの相からなる。
・ショック相
ストレッサーが加えられた直後、一時的に低血圧、低血糖、低体温等により体の抵抗力が低下すること。
・反ショック相
ショック相に対する防衛反応としてアドレナリンの分泌の増大により抵抗力が高まりはじめること。 - 抵抗期
ストレッサーに対する抵抗力が正常時より増加し維持され、ストレッサーに対してさまざまな対処の反応がとられる段階をいう。対処行動の範囲内で生体内のゆがみが修正され、適切な適応状態に導かれていく。ストレッサーに対する抵抗は増加してきているが、それ以外の刺激への抵抗は減少していく。 - 疲はい期
長期にわたりストレッサーと闘うことで抵抗力や適応に必要な生体の力が使い果たされる。
・ストレッサーが持続する
・ストレッサーが強すぎる
・警告反応期と抵抗期が繰り返される
などの場合には生体は不可逆的な生理的損傷の危険にさらされ、持続すると神経系、免疫系、内分泌系などの身体疾患を引き起こす可能性が増加する。
■ラザルスの心理社会的ストレス理論
- デイリーハッスルズ型ストレス
生活の一定のパターンに変化を起こさせないような、日常生活を混乱させる些細な出来事が常に長時間繰り返されて経験されるストレスの重要性を主張。 - トランスアクショナルモデル
ストレスとは反応であり、それを引き起こす刺激でもあり、生体と環境との間の相互反応的なかかわりの中でストレスフルと認知されたことがらと、それに能動的に対処しようする努力をさす。人間は環境によってストレスを受けるが、状況の選択や修正を通して、人間が環境を変えることもある。
■心理的ストレスと疾患
心理的ストレスは、人材資源に負担を負わせたり、個人の資源を越えたり、個人の安寧を危険にさらしたりするものとして、個人が評価する人間と環境の関係から生じる。
■ストレスと体のしくみ
- 自律神経系
交感神経系と副交感神経系の2つがあり、ともに同一の器官に働きかけるが方向は逆である。
交感神経系は生体を興奮させ、緊急時に体内の関係各器官が迅速に効力を発揮して準備状況を作る。副交感神経は各器官の鎮静、興奮の減殺の機能を持つ。 - 内分泌系
交感神経系は興奮に関与しているため、ストレス反応と直結している。この活動は主として副腎髄質を通じて行われる。
■ストレスと心身症
心身症とは、心理社会的要因がその発症や経過に関与しておこる身体的疾患。以下3点が必要。
一般的に、心理社会的な要因が影響しやすいのは呼吸器系、循環器系、消化器系。治療法としては関係器官の身体的治療法を行うと同時に必要な環境調整、薬物療法、心理療法などを並行して行う。
■心療内科における心身相関
下記の充実を目指している。
- 生物・心理・社会・倫理的な多次元的アプローチを行う
- 医師、看護師、心理カウンセラー、ソーシャルワーカーなどがチームを組んで連携して行う
- 患者自身が積極的に涵養する、セルフコントロール、セルフヘルプの方法を導入する