心理検査法 科目終了試験設題(1)
心理検査法 科目終了試験設題(1)「信頼性について」
(ポイント)心理検査における信頼性の意味、信頼性の種類について理解していること
<前提>
心理検査において重要なことは「信頼性」と「妥当性」である。
- 信頼性……測定値が誤差の少ない安定した値であること
- 妥当性……測りたい属性をその測定値が的確に表現していること
<信頼性とは>
信頼性とは、同じ対象について測定を繰り返したときに、測定の再現値が高い(ほぼ同じような値が得られる)ことを指す・
古典的テスト理論では、信頼性係数を定義し、この値をもって関心下の心理検査を評価するための一つの数値とする。
※信頼性係数とは、テストの得点の信頼性の高さを表す係数であり、真の得点の分散を観測得点の分散で割ったものである。
※真の得点とは、無限回のテストを行ったと仮定した場合の平均値である。測定値との間のズレにより信頼性が示される。ただし実際に無限回のテストをすることはできないので、信頼性を推定する方法が別途考えられた。
<信頼性係数を推定する方法>
①再テスト法
同一の受検者集団に対して同一のテストを、適切な期間をおいて行い、得点の相関係数を信頼性係数の推定値とするもの。内的整合性の基準に従って信頼性係数を推定する方法との併用がのぞましい。注意点として、記憶や学習の効果が表れるとアウトである。
②平行検査法
対応する項目の測定内容や形式および困難度が同一であるが、項目そのものは異なる2組の検査(テスト)を行うことを平行検査という。「2つのテストは相関しない」と仮定することで平行テスト間の相関係数が信頼性係数と一致する性質が利用される。
※平行検査間でが、同一集団におけるテスト得点の分布は等しくなり、解釈基準も等しく、いずれの検査を受検しても結果が相互に比較可能である。繰り返し同一の心理特性を測定する必要が生じたとき、前回の影響が次の検査に残らないよう平行検査を実施する。
※2つもテストを作る必要があるので、面倒なむきはある。
③折半法
1つのテストを、互いに平行測定の関係となるよう折半(2つのセクションに分ける)し、2つの合計点を用いて信頼性係数を推定する方法である。奇数番目と偶数番目に分けて行う方法を奇=偶技法という。スピアマン=ブラウンの公式を用いて補正する。
※ただし、元ンテストよりも信頼性係数は低くなる。
④的整合性に基づく方法
テストに含まれる項目全体が同一の心理学的特性に対する測定を実施するときに、そのテストを内的整合性の高いテストという。(=テストの等質性)
指標としてはクロンバックのα係数が用いられる。
※テストの測定精度の水準を高めるためには。内的整合性が高くなるよう項目を作成し、選択しなくてはならない。
⑤一般化可能性理論に基づく方法
一般化可能性理論とは、評定者、項目、測定誤差などの変動要因の大きさを別々に評価するために実験計画を立て、分散分析により各要因の分散成分を推定し、適切な項目数などのテスト使用計画を立てることである。
上記5つの手法のうち、再テスト法と平行検査法は安定性を追及する指標であり、折半法は内部一貫性を追及する指標である。
こうした方法で信頼性が確認できたら、心理検査の目的である妥当性を確認する。妥当性があると判断する上で必要となるのが信頼性なのである。信頼性が低い検査は、妥当性も低くなる。
<信頼性を検討する上で注意すること>
信頼性は、測定された集団に依存する。たとえばアメリカで標準化され、信頼性があるとされた検査を日本で実施する場合、そのまま適用することはできない。
★参考になった本