統合失調症を理解する映画「ビューティフル・マインド」
ずっと前のことになるけど、精神医学の授業で「ビューティフル・マインド」という映画を見た。天才数学者として名高い、ジョン・ナッシュの生涯(まだ死んでないけど!)を描いたもの。ゲーム理論やナッシュ均衡で名高いナッシュですが、実は統合失調症を発症して寛解に至らず、いまだに幻覚に悩まされているのだそうな。
統合失調症であるナッシュの視点で描かれる一方、妻や友人の視点からもナッシュが捉えられるので、ゾッとするほどリアル。幻覚が見えるってこういうことなんだ、幻覚が見えることで世界はどのような脅威であり、またそれが周囲にどのように見えているかが想像できてたまらなくなった。これはつらい。心理職を目指しているのにこんなことを書いたらあれだけど、僕がたとえば結婚して、妻がああなったら……支えきれるかどうか。
先生によれば、年代的にクロルプロマジンあたりが使えてきちんとした治療を受けられていたであろう、とのこと。ただしこの頃の薬は、頭がぼーっとするなどまだ副作用も多く、飲まなくなってしまう人も多かった。作中でも、実際にナッシュは数学の問題が解けなくなるからと勝手に服用を辞め、幻覚が再発している。幻覚の人物が、ナッシュが言ってほしいこと(「ナッシュは天才だ!」等)を言っている、と先生がおっしゃっていたが、とても胸が痛む。
作中では、病気が長くなる中で幻覚を幻覚として認識し、幻覚から話しかけられても「君とはもう付き合わない」等と拒絶していたが、そんなことってできるのだろうか。現にナッシュは大変な苦しみの中、彼らを断ち切ろうとしたわけだけど……ずっと見え続けるのに無視を決めるのは、相当な苦しみだろう。
(ついでに言えば、昔からいる、霊が見える系の人の中には、ある意味統合失調症系の人もいたのでは……と思ってみたりもする)
最後、ノーベル賞を受賞したときは涙が出てしまった。先生が実際の授賞式の映像も見せてくれたんだけど、どれだけの苦労を超えて今があるのだろう。障害を乗り越えて生きるとは、こういうことなのだ。
妻のアリシアも、よく支え続けることができたな、と思う。途中、後悔のセリフも出てくるけれども、一度離婚はしたけれどもまた再婚したらしい。家族の絆って大きいんだなあ。
……と感動していろいろ調べてみたら、ナッシュはいわゆるバイセクシャルで、大学の中でチン騒動を起こして問題になったこともあるのだとか……(∪ ´ω` )…… アリシアと離婚したのも男性の愛人とチン事を起こしたからで……(∪ ´ω` )えっと、あとアリシアの前に付き合っていた子には、子供まで産ませておきながら教え子のアリシアのほうがいい!と手ひどく振ったとか(∪ ´ω` )……
なんてがっかり情報!!
映画の中では精神疾患に苦しみつつも学問をあきらめない、純粋っぽい人に見えたのに!(∪ ´ω` ) うっかり感動しちゃったYO!! ……まあでも……天才数学者といえど、人間! にんげんだもの!!(みつを)
といろいろ思ったので本も読んでみました。こちらは数学界、当時の大学観、ナッシュの生い立ちから非常に細かく記されており、より深く理解できるかなーと思います。
ビューティフル・マインド: 天才数学者の絶望と奇跡 (新潮文庫)
- 作者: シルヴィアナサー,Sylvia Nasar,塩川優
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/10/28
- メディア: 文庫
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